(執筆日:2006年08月26日)
ボルネオ島の地形は日本と同様に山がちで、各地に山や丘が点在している。自分は山好きで、日本にいても天気が良ければ週に一回は登山に出かけるぐらいだから、ボルネオ島でも登山に挑戦した。
最初に訪れたのは標高1750メートルのアピ山。世界遺産グヌン・ムル国立公園内に位置するこの山の中腹からは、侵食によって削られた石灰石の奇岩ピナクルが天空に向けてそびえ立っている。事前にアピ山登山について各国の旅行者から情報を収集したところ、「かなりの体力が必要」、「岩肌が鋭く、極めて危険」、「脱落者、怪我人続出」、「登りきれない人の方が多い」等々の大評判だったので、勇んで登山に申し込んだ。登山にはガイドが必要で、2泊3日のキャンピングツアーの2日目にアピ山第二の頂上まで登る(真の頂上に登るには特別な手配が必要なため、通常の旅行者には不可能)。自分が一緒に登山することにしたのは、オーストラリア人男性2人(ロッククライマーとスポーツ青年)、南アフリカ出身のイギリス人女性(男まさりのワイルドさ)、スペイン人カップル(3年もバックパッキング旅行をしている)で、一般の観光客に比べるとかなり強力なメンバーで挑むことになった。ガイドが登山について「大変危険だから注意するように」というので、死者でも出たのか聞いてみたら、「それは答えられない」と言われた。後の情報収集で、昨年だけで最低2人死んでいるらしきことが分かった(骨折は多数)。
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キャンプ2日目の朝、登山を開始した。登山距離はたったの2400メートルだが標高差が1200メートルもあるので、斜面はかなり急だ。木々の根っこや石灰石を掴みながら登ったが、岩肌が鋭いために手の平に小さな切り傷がいくつも出来た。山には野生動物がたくさん生息していると聞いていたが、残念ながら観察できたのは猿とリスだけだった。頂上付近の岩場はかなりの急勾配で、場所によってはほぼ垂直になっていた。ロープや梯子(はしご)が整備してあったので、個人的には難なく登ることが出来たが、スペイン人女性は退却を検討していた。それでも最終的には6人全員が登頂に成功して、喜びを分かち合った。頂上は当初、霧で覆われていて見通しが悪かったが、ガイドに言われたとおり晴天を祈願してポンポンッと手を叩くと、驚くことに霧が晴れて絶景となった。45メートルもの高さになるピナクルが連なる様は圧巻だった。
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しばらくすると雨が降ってきたので下山を開始した。雨は次第に強くなり、ずぶ濡れになりながら滑りやすい斜面を下りていった。切り立った岩肌が多い斜面は注意して下りていたので大丈夫だったが、土と根だけの斜面を面倒くさがってジャンプしながら下りていたら見事にずっこけてしまった。ちょっと調子に乗りすぎた。下山後は天気も好転したので川で水浴びをして疲れを取った。
下山してから思ったことだが、この山の「大評判」は、普段登山などしない多くの観光客が外国を訪れた勢いで記念登山に挑戦していることに起因している気がした。実際、同日にアピ山を登った別のグループで、高級ホテルを通してツアーの手配をした人達は、ヘタヘタで非常に苦しそうだった。聞くと、何人も途中で引き返したらしい。もし、この日記を読んでいる人の中でこれからアピ山を登る人がいたら、登山前に少し運動して基礎体力をつけておくことをお勧めする。そうすれば、おそらく問題なく登頂できると思う。
